光触媒最新情報

可視光応答型光触媒のJIS規格について

2013-03-07

 従来型光触媒(紫外線応答型)の試験方法に引き続いて、この2月に可視光応答型光触媒の
試験方法に関するJIS規格が制定されました(従来型光触媒の抗ウイルス試験も同じ時期に
制定されました)。今回はそれらについて簡単に解説します。
 従来型光触媒の試験方法の違いは当然のことながら光源にあります。従来型はブラックライ
トで紫外線を照射していましたが、可視光応答型光触媒では白色蛍光灯を使います。蛍光灯は
わずかに紫外線を含んでいるので、紫外線をカットするフィルターを使い可視光のみを照射す
ることになります。日本では普通に「可視光応答型」と呼んでいます。しかしISO国際規格
の場では、「可視光」の波長領域を統一することができませんでした。そのためJIS規格の日
本語表題では「可視光応答型光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」となっている
ものが、英語表記では「Test method for antibacterial activity of photocatalytic products
and efficacy under indoor lighting environment」となっています。つまり「可視光」とい
う表記は無く、かわりに「室内照明環境下」といったような意味の表記になっています。また
前記の紫外線カットフィルターについても波長400nm以上の光を透過するフィルターを使う
条件(条件A)と、波長380nm以上の光を透過するフィルターを使う条件(条件B)の2種
類の「可視光」条件が用意されています。日本の室内照明(ランプカバー付)を想定した場合
は条件Bが適当という記載もあります。また「室内照明」ということから、ランプカバーを取
り付けていない場合の条件として、フィルターを用いず蛍光灯の光を直接照射する条件(条件
C)も設定されています(ただし条件C単独の試験は認められず、条件Aまたは条件Bのどち
らかを必ず実施することになっています)。
 今回制定された試験方法をみると従来型と異なる種類の試験がいくつかあります(別表参照)。
まずセルフクリーニング機能を調べる試験では従来型にあったメチレンブルー脱色試験があり
ません。おそらくメチレンブルーが可視光で徐々に脱色するため、可視光を使った試験では脱
色を正確に評価できないためと思われます。
 空気浄化については従来型と同じ種類のガスについて同じように流通系の反応装置を使った
方法が制定されていますが(R1751-1~5)、従来型では無かった試験方法が可視光応答型に追
加されています(R1751-6)。小型チャンパ―を使った試験で、もともとはホルムアルデヒド
を吸着・分解するような内装建材(壁紙、床材、塗料など)を対象にした試験方法(A1905-1)
を基に光を照射できるように変更した試験方法です。内装建材用の試験方法ということから、
室内での使用をより意識した試験方法となっています。そのため流通反応装置を使った試験で
は光の強度は6,000Luxになっていますが、小型チャンバーを使った方法では光の強度は
1,000Luxとなっており、より実空間に近い条件になっています。
 従来型光触媒では水浄化機能についてジメチルスルホキシドという物質の分解量を測定して
酸化分解能力の強さを判断する試験方法がありますが、可視光応答型ではこの試験方法は制定
されていません。現時点では可視光応答型光触媒の水浄化機能についての試験方法はJIS規
格が無い状態になっています。
 また微生物に関する試験でも、従来型では「抗菌」「防カビ」「抗ウイルス」試験がありま
すが、可視光応答型では「防カビ」が無く、「抗菌」と「抗ウイルス」の試験方法が制定され
ました。「抗ウイルス」試験は、従来型、可視光応答型ともにバクテリオファージというウイ
ルスを使った試験になっています。インフルエンザウイルスやノロウイルスを使うのは人への
感染の危険がある上、費用もかなり高額になってしまいます。バクテリオファージというのは
大腸菌に感染するウイルスで人には感染しないため、安全な試験方法でありまた費用も低く抑
えることができます。抗菌、抗ウイルスの試験方法ともに光の強さは1,000~3,000Luxで行う
ことになっています(標準は1,000Lux)。
 その他では、触媒粉末が可視光照射下でホルムアルデヒドを完全に分解することができるの
かどうかを調べる試験方法があります(R1757)。光触媒加工品はこの試験の対象となってお
らず、光触媒原料の開発で利用されるような試験方法です(光の強度も10,000Luxという非
常に明るい照度になっています)。
 以上のように可視光応答型光触媒の試験方法のJIS規格がほぼ出揃いました。今後はこの
JIS規格を基に光触媒工業会でもPIAJマーク認定基準などを作成してゆくことになりま
す。

                                  【室伏】

カテゴリー: 光触媒最新情報 
Top