光触媒最新情報

光触媒研究会聴講報告

2017-09-28

 9月27日、都内で開催された光機能材料研究会(会長;藤嶋先生)の第65回講演会「光
触媒に関するJIS/ISOの最新動向」を聴講してきました(プログラムはこちら;研究会HP)。
今回はその中で特に興味深かった内容について報告します。

【実環境を想定した抗菌試験法】
 JISの光触媒試験は、光触媒を加工した製品がどれくらいの高い光触媒性能を本来持って
いるのか、ということを調べるようになっており、一定の光照射条件下で発揮できる最大効果
を測定するような試験です。そのためにJIS制定時から性能アップが見込めるため、JIS
では性能値についての規格になっていません(抗菌試験は除く)。また実環境で発揮できる性
能と差が生じてしまうことになります。そこで神奈川産業技術総合研究所(KISTEC)では実
環境を想定した試験方法を開発してきました。この試験で想定している「実環境」は、製品表
面を人が触れることによって付着する皮脂の再現です。
 抗菌試験では純水に菌と栄養を混ぜた菌液を使いますが、基本的にはこの菌液に皮脂の替わ
る物質を添加することで実環境の再現を試みています。ただ、皮脂のような油脂成分は水に溶
けないため、水溶性の物質で皮脂を代用しなくてはなりません。KISTECではポリエチレング
リコール(PEG)とポリプロピレングリコール(PPG)を使うこととしました。ただし大腸菌
ではグリセロールやアルギン酸ナトリウムを添加しています。これらの物質を添加した結果と
実環境での測定結果を比較し、ほぼ似たような抗菌活性が得られていることを確認しています。
 この試験方法はすでにISOに提案しています。おそらくJISにも同様の試験方法を提案
することになると思います。実環境を想定している試験方法ということで、今後PIAJマー
クなどの規格にも利用されるのではないかと思われます。弊社製品でも機会があれば実施して
みたい試験です。今後もこの試験方法の制定状況に注目して行きたいと思います。

【科学的検証方法】
 現在のJIS/ISO試験方法は製品の性能試験の面が強くなっています。そこでもう少し
光触媒の反応原理から光触媒活性を測定しようという方法が産業技術総合研究所から提案され
ています。これは「溶存酸素測定による半導体光触媒材料の酸化活性測定法」と呼ばれている
もので、ISOに提案されています。
 水中で光触媒反応を行い、有機物を分解するときに消費される水中の酸素(溶存酸素)量を
測定することで光触媒活性を測定しようというものです。光触媒による酸化分解反応が良く調
べられている反応を用いることで正確に光触媒活性を試験できます。ただ光触媒反応の科学的
な検証といった面が強いため、光触媒によって得られる抗菌とか消臭といった効果を測定する
ものではないので、製品試験にはあまり適しておらず原料開発に使われるような試験方法に
なっています。カタライズとして製品開発に利用することはあまりないでしょうが、原料開発
には役立つものと思われます。

【試験光源について】
 最近急速に照明がLED化しています。可視光応答型光触媒の試験では現在蛍光灯を使って
いますが、実環境との対応を考えれば当然LEDによる試験が必要になるでしょう。本講演会
でも光触媒試験光源のLED化の講演がありました。
 様々なLED照明を取り寄せて光のスペクトルを調べている段階のようですが、使う場所に
合わせて光の色を変える演出をしているため、スペクトルもたくさんあるようです。規格作り
をされている先生(東海大学竹下准教授)はかなり苦労をされているようでした。ただLED
化は急速に進んでおり、現行試験法で使われている蛍光灯も環境面から2026年までには販
売されなくなるため、試験で使う照明のLED化は数年内に確実に行われるでしょう。

【海外の状況】
 ISOに関連して海外の状況についても話題に上っていました。特に興味深かったのは欧州
の状況です。
 欧州では建物のセルフクリーニングなどに使われていますが、一番興味があるのは水処理へ
の応用のようです。空気浄化などは発生源での対策に重点が置かれているので、大気中に萌出
されてからの対策となる光触媒はあまり開発対象になっていないとのことでした。また化学物
質の安全性についてもかなり対応が厳しいのでこの面からも新しい材料である光触媒の使用の
障害になっているようです。リスクに神経質になり過ぎて、そこから得られるより大きな効果
を失っているのではないか、との話もありました。私も欧州の規制に触れるたび、ちょっと神
経質過ぎるのではないかと思ったりしています。

 以上のように非常に有意義な講演会でした。12月には光触媒国際シンポジウムも開かれま
す。このシンポジウムにもぜひ参加したいと思います。参加した時にはまたこの場で報告をす
るつもりです。

                                   【室伏】

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