光触媒最新情報

光触媒の医療への応用

2018-04-30

 4月10日の日経新聞夕刊に「ウコン成分由来の光触媒―アルツハイマー抑制」という記事が掲載されていました。光触媒は様々なところで使われていますので、今回は光触媒の医療への応用について解説しようと思います。

(1)新聞記事について
 日経新聞の記事の「光触媒」は、弊社で扱っている酸化チタンなどとは異なる成分でした。酸化チタンなどではその酸化分解力で抗菌消臭といった機能を発現していますが、記事の光触媒は「ウコン成分由来」となっています。記事を読んでみるとその機能もアルツハイマーの原因となるアミロイドベータタンパクを変性して凝集を抑える、というものでした。見出しを見たときには酸化チタンのような光触媒にウコンから抽出した成分を配置して、アルツハイマーの病変に光触媒が集まるようにしたものではないかと思いました。光触媒を病変に集めたところに光を照射し、病変を酸化分解するのではないかと考えたのです。でもそのような酸化分解力を持つものではなく、光(遠赤外線)を使ってアミロイドベータタンパクに酸素を付加する
という触媒でした。イメージ的には酵素に近いものと思われます。
 とはいえ「光触媒」という考え方が使われているのは確かです。今回は酸化チタンは使われていませんでしたが、酸化チタンなどの酸化分解力を医療に応用するということは従来から考えられています。次では酸化チタンなどの医療への応用について取り上げたいと思います。

(2)光触媒によるガン抑制
 光触媒の解説本でも取り上げられているのがガン抑制への応用です。原理はガン細胞に光触媒を集め、そこに内視鏡などで光を照射し光触媒の酸化分解力でガン細胞を分解する、というものです。光触媒をガン細胞にだけ集めることさえできれば酸化分解はガン細胞だけで起きるため、健康な細胞にはほとんど影響を与えないで済みます。原理的にはなかなかいい方法だと思います。シャーレでの培養レベルでは光触媒でガン細胞を分解できることは確認されています。あとは如何にガン細胞にだけ光触媒を集めるか、ということに掛かっています。光触媒の粒子表面にガン細胞が好む物質を取り付けることで、ガン細胞に選択的に光触媒を取り込ませることも考えられているようです。

(3)その他の応用例
 ガン細胞抑制の他にも医療への応用が考えられています。その一つにカテーテルへの応用があります。カテーテルとは体に差し込んで体内の余計なものを排出させたり、逆に薬剤などを投入するのに使われる管のことです。体内に差し込むので殺菌は欠かせません。その殺菌に光触媒を使うことで単に細菌を殺すだけでなく、管に付着した不純物も分解できるようになります。通常の抗菌剤と併用することでより殺菌効果を高めつつ、通常の抗菌剤ではできなかった不純物の除去までできることになります。
 ちょっと変わったところでは入れ歯への応用も考えられています。光触媒で使われる酸化チタンは白色なので入れ歯の表面に塗付するときれいな白い歯になる上、入れ歯を外しているときに光を当てていれば入れ歯の殺菌やニオイの元となる付着物の分解ができることになります。
 また予防医学といった観点からも光触媒の応用範囲は広がります。空港のロビーにや空調機に光触媒を使うことで、海外から新型ウイルスが持ち込まれるのを防ぐ試みがありました。また病院や薬局の待合室で室内の細菌を減らすといったことにも使われています。病原菌を持った人が集まるところなのでなかなかいい応用ではないでしょうか。通常の抗菌剤では人が触っていると手の脂によって抗菌効果が発揮されなくなってしまいます。その点光触媒は手の脂なども分解でき抗菌力を持続できる可能性があるので、病院や薬局のカウンターへの応用などには最適なのではないでしょうか。また子供のおもちゃなどにも利用すれば、幼稚園や保育園での手足口病の感染予防などにも期待できます。

 光触媒はシックハウス対策にも使われており、「予防」ということにとても適した材料ではないでしょうか。ただ残念なのは「予防」は目に見えないことです。病気が治ったということではなく、病気にならなかった、ということなのでその効果が伝わりにくのです。使った人の健康が維持できても、使わなかったらどうなっていたか、ということの検証がほとんど困難なのです。そういったことから、これからも地道に光触媒の力を伝えて行きたいと思います。

                                   【室伏】

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