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「減らない光化学スモッグ」という記事を読んで

2013-09-17

【光化学スモッグ】
 光化学スモッグというと40年以上前、私がまだ小学校の頃によく聞いていた言葉でし
た。地方都市の小学校だったので、自分の周りでは光化学スモッグはめったに発生しませ
んでしたが、都会では時々発生しているのが話題になり、目がチカチカしたりして屋外で
の活動が制限されるもだというのを覚えています。光化学スモッグは、揮発性有機化合物
(VOC)や一酸化炭素、窒素酸化物(NOx)などが太陽の光(紫外線)を受けて光化
学スモッグの原因となる光化学オキシダント(主にオゾン)を生成することで発生します。
その対策として光化学スモッグの原因物質であるNOxやVOCを含む工場や自動車の排
気ガスの規制が強化されました。今では工場や自動車が黒い煙を出している、なんてこと
はほとんどなくなりました。就職して東京近郊で働くようになっても光化学スモッグ警報
なんてほとんど聞くこともなく、光化学スモッグは過去のものと思っていました。ところ
が昔ほどひどくはないものの今も時々発生しており、規制が強化されているのに光化学ス
モッグはあるところから減らない状態が続いているということを知りました。

【最近の状況】
 9月5日付朝日新聞の科学面に「減らぬ光化学スモッグ なぜ?対策後も基準値超す汚
染物質」という記事がありました。「えっ?そんなことがあるんだ…」という内容でした。
近年、汚染物質が国境を越えて飛んでくるようになっていることが時々話題になっていま
す。つい最近もPM(粒子状物質)が飛んできて健康に影響を及ぼすのではないか、とい
ったことがニュースになりました。そういったものが原因で国内の光化学スモッグが発生
することは容易に理解できます。日本ではNOxなどが減っていても、アジア全体でみる
と経済発展に伴いNOxを始め汚染物質が増えています。記事でも春先はこの越境汚染が
原因になっていると書かれています。
ところが夏は太平洋高気圧の影響で西方から汚染物質が飛来するのを抑えるため、越境
汚染では説明できないとのこと。なんと夏の原因物質として考えられているのは植物が放
出する成分ではないかというのです。植物が放出する香りなどはVOCの一種であり、春
から夏に植物の活動が活発になることでVOCが増えることが夏の光化学スモッグの原因
ではないかと推測しています。
この記事の内容はちょっとした驚きでした。植物は環境を良くすることはあっても、公害
の原因になることがあるとは思ってもみませんでした(原因となる化合物はまだ特定され
てはいないようですが)。植物が生成するVOCの量は化石燃料などを使ったときに発生
しているVOCの量よりもずっと多いのです。もっとも植物の出すVOCだけで光化学ス
モッグが発生するわけでなく、人間の経済活動によって発生するNOxなどがあるから公
害が起きてしまうのですが…

【身近にあるVOC】
 植物がVOCを放出しているというと意外な感じがしましたが、でも考えてみれば植物
の出す香り成分は揮発性の有機化合物なので当然VOCに含まれることになります。VO
Cと一括りにしても、その毒性の有無などは成分によって大きく異なります。植物の出す
成分はほとんど毒性のないものでしょう。さらに香り成分がVOCということであればそ
れは植物だけでなく、人間が使う香水や香料もVOCということです。植物から発生する
量に較べれば無視できる程度のものでしょうが、身近ではいろいろな場面でVOCが発生
していることになります。最近特に香料を使う量が増えているように感じます。ほとんど
の洗剤に香料が入っており、無香料の洗剤を探すのが難しいくらいです。柔軟剤に至って
は仕上がりの柔らかさではなく、香りで選ばれているとのことです。家庭用の消臭剤でも
多くは香りが付いています。これらが光化学スモッグの原因になるとは思いませんが、化
学物質過敏症の人にとってはたいへんな状況でしょう。せっかく建材に含まれるVOCが
規制されたというのに、外から持ち込まれるVOCは増える一方なのですから。

【VOC低減技術】
 汚染物質を除去するにはなるべく発生源に近い濃度の高い段階で回収・処理するのが効
率のいい方法になります。工場や自動車で生成する汚染物質は大気に放出される前に効率
よく除去されています。しかし植物や生活の中で発生するVOCは直接大気に放出されて
いるので、効率よく除去するのはなかなか難しい状態になっています。とはいえせめて普
段暮らしている室内のVOCは除去しておきたいものです。そこで力を発揮するのが光触
媒だと思います。
 室内全体に薄く広がっているVOCを除去するには、空気清浄機を使って室内の空気を
強制的に集めながら処理する方法がありますが、それにはフィルター交換などのメンテナ
ンスやファンを動かす電力などが必要になります。できればメンテナンスや電力が不要な
方法で対策したいものです。そこでVOCを分解除去する能力を持っている光触媒を室内
の壁やカーテンなどに塗付する方法があります。明るい昼間や蛍光灯を点けている室内で
は自然に対流が起きているので、室内の空気が壁やカーテンに触れることでVOCを持続
的に分解除去します。光触媒の機能を得るためにエネルギーを使う必要もありません。室
内に薄く広がったニオイやVOCの除去対策は、光触媒の使い方として最適なものの一つ
です。
 生活の中で香りが使われることが多くなり、さらに自然界からも様々な成分が発生して
いることを考えると、生活環境には様々な物質が溢れていると言えます。そういった状況
に慣れて暮らすこともできますが、化学物質過敏症の方を始め、少しでもキレイな環境で
暮らしたいと願う人も増えています。光触媒を始めとする環境改善技術は今後ますます重
要になるでしょう。

                                  【室伏】

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